先々週、事務所の軒先でアゲハチョウが羽化した。

前々からサナギの存在には気付いていたので、楽しみにしていたんだが、、、、
残念ながら羽化に失敗し、羽が伸びきらない「飛べない蝶々」となっていた。

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生まれた日は、酷い雨。大粒の雨に打たれて駐車場で横たわっていた。
風も強かったから、サナギから出てすぐに飛ばされてしまったのかもしれない。

とりあえず、ランタナの咲いているプランターを室内に入れて、そこに乗せてしばらく様子を見たが、しわくちゃのままの羽は、やはり伸びず。

なぜに神様は、かくもむごい仕打ちをするんだろうと思ったんだが、その後の10日間、そのお陰で僕は「蝶々を飼う」と言う、珍しく楽しい日々を過ごせたのです。

そう、彼女は飛べないが故に、珍しい「手乗り蝶々」となってくれたのです。

役に立たない羽は邪魔なようで、なかなか花々の間をうまく動けません。
そこで手に乗せて花に近づけると、身を乗り出して密を吸います。

ストローみたいな口を目一杯伸ばしてせわしなく密を探して、美味しい蜜を探り当てた時には、とても幸せそうにじーっと吸います。
水も好きで、花にたまった朝露も好んで飲んでました。

子供達と近くの空き地や公園にも散歩に行きました。
いつも室内のプランターの上で過ごしている子にとっては、楽しい時間なのかもと。
その実、僕が楽しいんですが(笑)。

そういえば、チョウチョの習性として、同じ花から蜜を吸う、、、というのがあるかどうかわかりませんが、チョキちゃん(娘命名)は、最初に吸ったランタナの花の蜜を好んで飲みました。
散歩に出て、いろいろな花の蜜を吸った後でも、帰ってくるとプランターのランタナの蜜をむさぼるんです。
その様子が、我が家に帰って一安心!ってな感じに見えて、とても微笑ましい(笑)。

その様子を、鼻がぶつかるほど近くで見ることが出来るなんて、とても素敵でした。

丸まる口も、よく見ると先の方だけ柔らかくなっています。蝶の口って、漠然とストローのようになっていると思っていたんですが、実際は、小さく細い花の奥の方にするすると入っていき、その周辺で柔らかい先が舐めるように動きます。
タオルが水を吸うような、、、先っぽは、そんな感じに見えました。

飛べないのに、ことあるごとに羽ばたいて、住まいとなったプランターから落ちて地面でジタバタ。
その都度プランターに戻してやるのも日課になりました。
この周りには、トカゲや蜘蛛、雀などの外敵が多いですからね。


そして10日目の朝、プランターの横で、足を折りたたんで死んでいました。
昆虫って、なんの前触れも見せず死んじゃうんですよね。
まあ、こちらが分からないだけかもしれませんけど(笑)、悲しいというよりもびっくりでした。


名付け親の娘と二人で、近くの空き地に埋めました。
娘らしく、埋めた場所に小さな石を持ってきて「お墓」に。

悲しいことだけど、こういう経験からいろんなことを学んで欲しいな~と、親父くさいことも思ったりした日々でした。
命の大切さは、命でしか経験出来ませんから。


たった10日間の命でしたし、飛ぶことも繁殖することも出来なかった彼女ですが、とりあえず寿命は全う出来たのではと。
弱肉強食の摂理に従って、すぐに食べられた方が良かったのか、蝶としては珍しい人生を送って楽しかったのか、僕には全然わかりませんが、とりあえず僕は幸せにしてもらいました。
ありがとう。

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小さくても大きくても、生きていると言うことは、面白いです。